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創設された事業承継税制の特例のポイント

<1> 創設の背景
中小企業経営者の高齢化が進み、今後五年間で三十万人以上が七十歳(平均引退年齢)を超える一方、その半数以上の経営者が事業承継の準備を終えていません。事業承継の円滑な実施は、事業が継続されることによる雇用の維持に加え、休廃業企業のうち一定数は経常利益が黒字であること等も踏まえると、地域経済の維持・活力向上の観点でも極めて重要です。
そこで、平成三十年度税制改正では、事業を譲り受けたり相続した後継者が、その会社を経営していく場合には、後継者が納付すべき相続税や贈与税のうち、その相続・贈与のあった非上場株式等(一定の部分)に係る相続税・贈与税の納税が猶予され、一定の場合には免除される「事業承継税制」について、これまでの措置に加え、税負担の軽減や、雇用継続・事業継続等の各種要件を見直すことで、中小企業経営者の事業承継をより一層後押しし、事業の継続・発展を通じた地域経済・雇用の維持・活性化を図る「事業承継税制の特例」が十年間の時限措置として創設されました。

<2> 特例の内容
この特例(特例措置)は、平成三十年四月一日以後五年以内に、事業後継者や承継時までの経営見通し等が記載された特例承継計画の作成を行うなど一定の要件の下、相続・贈与による事業承継を行う場合に、既存の事業承継税制(一般措置)に代えて適用することができます(図表 1参照)。

(1)猶予対象株式の制限の撤廃
一般措置では、納税猶予の対象となるのは総株式の最大三分の二までですが、特例措置では全株式が対象となります。
(2)納税猶予割合の引上げ
一般措置では、相続した株式等に係る猶予割合は八〇%ですが、特例措置ではこれが一〇〇%に拡大されています。
(3)雇用確保要件の弾力化
一般措置では、承継後五年間平均で雇用の八割を維持する要件(雇用確保要件)を満たせなかった場合には猶予された贈与税・相続税を全額納付する必要があります。しかし、特例措置では、雇用確保要件を満たさない場合でも、その満たせない理由を記載した書類(認定経営革新等支援機関の意見が記載されているもの)を都道府県に提出することで、納税猶予が継続されます。

(4)複数の後継者への贈与・相続に対象を拡大
従来、代表権を有する又は有していた先代経営者から一人の後継者への承継が対象でしたが、特例措置では、中小企業経営の実情に合わせた多様な事業承継を行えるようにするため、親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大三人)への承継が可能となりました。なお、一般措置でも、複数の株主からの承継については可能となりました。

(5)経営環境の変化に対応した減免制度の創設
一般措置では、後継者が自主廃業や売却を行う際、経営環境の変化により株価が下落した場合でも、承継時の株価をもとに贈与税等を納税するため、過大な税負担が生じるケースがありました。
特例措置では、特例経営承継期間経過後に、過去三年間のうち二年以上赤字の場合など、事業の継続が困難な一定の事由が生じた場合に特例措置の適用に係る非上場株式等の譲渡等をした場合には、その対価の額(相続税評価額の五割が下限)を基に相続(贈与)税額等を再計算し、再計算した税額と直前配当等の金額との合計額が当初の納税猶予額を下回る場合には、その差額が免除されます。

<3> 適用要件
特例を適用するためには、先代経営者、後継者、会社に次のような要件が必要です(図表 2参照)。
また、認定経営革新等支援機関の所見を記載した特例承継計画の提出が必要となります。同支援機関としては、税理士、商工会議所、金融機関、民間コンサルティング等がありますが、税理士が約四分の三を占めています。

<4> 適用期日
この特例は、平成三十年一月一日から三十九年十二月三十一日までの間に贈与等により取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用されます。

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