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従業員等が会社から受ける経済的利益 ~給与課税の対象とならないように注意~

 会社の役員や経理担当者の中には、従業員等に対して金銭による給与以外の費用負担や金品の贈与などを行った場合、それらは単純に会社の経費(損金)等として、給与課税の対象外とお考えの方もいるのはないでしょうか。
 今回は、このようなケースにおける税務上の取扱いを見ていきたいと思います。

一 経済的利益として課税されるものとは

 注意しなければならないのは、給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらす費用負担などは、「経済的利益」として給与課税の対象となることです。
 この経済的利益に該当するものの例として、次のものがあります。

二 経済利益として課税される額

 前述の「経済的利益の例」における、主な給与課税の対象となる金額は次のとおりです。
(1) 物品(商品)その他の資産の無償・低額譲受け
 無償の場合はその資産の時価、低額の場合はその額と実際に支払った金額との差額。
(2) 土地・家屋その他の現金以外の資産の無償・低額借受け
 無償の場合は通常支払うべき対価の額、低額の場合はその額と実際に支払った金額との差額。
(3) 金銭の無利息・低利息借受け
 無利息の場合は通常の利率により計算した利息の額、低利息の場合はその額と実際に支払った利息と   の差額。
(4) (2)・(3)以外の用役(サービス)の無償・低額享受
 無償の場合は通常支払うべき対価の額、低額の場合はその額と実際に支払った金額との差額。
(5) 未払金等の債務の免除・肩代わり
 債務免除の場合はその免除された金額の相当額、肩代わりした場合はその負担した金額。
 
三 給与課税の対象とならない経済的利益の例

 次のような費用負担等は、給与課税の対象とならないとされています。
(1) 通勤手当・旅費等
 ➀ 電車・バス通勤者の通勤手当
 通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額。ただし、新幹線や特急列車を利用した場合の運賃等の額は、その通勤方法や経路が「最も経済的かつ合理的な経路および方法」に該当する場合には含まれますが、グリーン料金は含まれません。また、1か月当たり15万円を超える場合には、15万円が限度額となります。
 ➁ マイカー・自転車通勤者の通勤手当
 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
 1か月当たりの限度額は、片道の通勤距離(通勤経路に沿った長さ)に応じて、次頁表のように定められています。
 ➂ 転勤に伴う転居費用等
 家族分も含めて転居のために必要な運賃、宿泊費、引越し費用などとして、適正な旅費規定等に基づく金額であれば非課税とされています。
 また、単身赴任者などの帰省旅費については、従業員個人が負担すべきものとして、課税の対象となりますが、職務の遂行上必要な移動に付随して帰宅したような場合には、原則として非課税とされます。

(2) 社宅費用
 従業員の社宅や寮の場合、1か月当たり一定額の家賃(賃貸料相当額)以上を受け取っていれば課税されません。
 この場合の賃貸料相当額は、次の金額の合計額をいいます。
ア その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
イ 12円x(その建物の総床面積(㎡)÷3.3㎡)
ウ その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
  賃借料相当額と実際に受け取っている家賃との差額が給与として課税されますが、従業員に限り、賃借  料相当額の50%以上の家賃を受け取っている場合、差額は課税しないこととされています。
  会社などが所有している社宅や寮などを貸与する場合に限らず、他から借りて貸与する場合でも、前記のアからウを合計した金額が賃借料相当額となります。したがって、他から借受けた社宅や寮などを貸す場合にも、貸主等から固定資産税の課税標準額などを確認することが必要です。
  なお、役員社宅の場合には、一定の床面積を超える場合や、いわゆる豪華社宅に該当することになる場合は、非課税要件が厳しくなるのでご注意ください。

(3)食事支給・補助
 次の2つの要件のどちらも満たしていれば、非課税とされています。
➀ 役員や従業員が食事の価額の半分以上を負担していること
➁ 次の金額が1か月当たり3500円(税抜き)以下であること
  (食事価格)ー(役員や使用人が負担している金額)
  この場合の「食事の価額」とは、弁当などを購入して支給している場合には、業者に支払う購入金額、社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額となります。
  ただし、食事を支給するのではなく、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする金額が課税の対象となります。
  なお、残業又は宿日直に対し支給する食事は、無料で支給しても非課税とされています。

(4)社員旅行
 その旅行の内容(旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合・使用者及び参加従業員等の負担額及び負担割合など)を総合的に勘案して、社会通念上一般に行われている旅行と認められるものについては、非課税とされています。具体的には、その経済的利益の額が少額であると認められ、次のいずれの要件も満たすものをいいます。
➀ 旅行の期間が4泊5日以内(海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内)であること
➁ 旅行に参加した人数が全体の人数(工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数)の50%以上であること

(5)人間ドックの費用負担
 健康管理の必要から、一般的に実施されている人間ドック程度のもので、一定年齢以上の希望者は全て検診を受けることができ、かつ、検診を受けた者の全てを対象として、その費用を負担する場合には非課税とされています。  


 
   

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