償却資産申告と法定調書
1月は、法定調書や償却資産申告書などの書類の提出をする必要がありますので、確認のためポイントを整理します。
1 法定調書・・・
(1) 法定調書合計表
法定調書を提出する際には、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(以下、合計表)」を一緒に提出します。合計表には、➀給与所得の源泉徴収票、➁退職所得の源泉徴収票、➂報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書、④不動産の使用料等の支払調書、⑤不動産等の譲受けの対価の支払調書、⑥不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書について、支払った人数や支払金額の合計額などを記載します。
それぞれの法定調書には、提出範囲が定められていますので【表参照】、源泉徴収票や支払調書を提出する人の分について、その人数と支払金額の合計額も合計表に記載します。
令和6年分の源泉徴収票や支払調書と合計表の提出期限は、令和7年1月31日です。提出方法には、e-Taxや光ディスク等、書面などがありますが、前々年に提出すべきであった法定調書の枚数が100枚以上である法定調書については、書面による提出はできません。提出義務の判定は法定調書の種類ごとに行います。なお、令和7年中に提出する法定調書の枚数が30枚以上の場合は、令和9年に提出する法定調書は書面による提出ができなくなりますので、e-Taxなどによる提出の準備をする必要があります。
(2) 金額の判定と記載
法定調書ごとに決められている提出範囲の金額の判定は、消費税及び地方消費税(以下、消費税等)の額を含めることが原則です。ただし、消費税等の額が明確に区分されている場合は、その額を含めないで判定することが認められています。
現在、源泉所得税を徴収する際には、復興特別所得税を併せて徴収することになっていますので、法定調書の「源泉所得税額」欄には、所得税と復興特別所得税の合計額を記載します。
2 償却資産申告書・・・
(1) 償却資産の概要
1月1日現在の土地・家屋・償却資産の所有者に対して、固定資産税が課税されます。このうち償却資産については、所得者が市区町村(東京都23区は都。以下、自治体)に申告をする必要があります。令和7年度の申告期限は、令和7年1月31日です。
申告は、償却資産申告書と種類別明細書などの所定の書類を、書面または電子申告で提出することにより行います。
(2) 申告の対象か否か
償却資産とは、土地及び家屋以外の事業供用することができる資産で、法人や個人事業主が所得の計算をする際に、その資産の減価償却費が経費に算入されるもののうち一定のものをいいます。事業供用することができる資産なので、耐用年数が経過していて償却済みの資産や、遊休・未稼働の資産も含まれます。
償却資産申告の対象ではないものには、ソフトウエアなどの無形固定資産や開発費などの繰延資産、自動車税や軽自動車税の課税対象となるべきものなどがあります。例えばフォークリフトなどの小型特殊自動車は、公道の走行の有無に関わらず軽自動車税の課税対象ですので、償却資産申告は必要ありません。一方、フォークリフトでも大型特殊自動車に該当するものは、公道の走行の有無に関わらず自動車税が課税されませんので、償却資産申告の対象になります。
(3) 申告から課税までの流れ
償却資産申告書を提出すると、自治体は申告や調査に基づいて価格等を決定し、その価格等を償却資産課税台帳(以下、台帳)に登録します。台帳に登録されたことが自治体から公示されると、所得者や納税管理人など、固定資産税の課税に直接関係を有する一定の人は、台帳の閲覧が可能になります。
台帳に登録された価格に不服があるときは、審査の申し出をすることができます。審査によって決定された内容に不服がある場合は、決定の取り消しの訴えを提起することができます。
台帳に登録された価格等から税額が算出され、償却資産の所有者に納税通知書が交付されます。なお、課税標準額が150万円未満の場合には課税されないため、納税通知書は交付されません。【図参照】